2004.10.2
10月1日。

今日って、ウソついても良い日のような気がするのは、ワタクシだけですか?

さて、この話はウソじゃなくて本当の話。


ココに越してきて間もない2週間ほど前、何の前触れも無くは、やって来た。
何の迷いも無く、私のドアの呼び鈴を押し、突然は、現れた。

もう、季節は秋。
なのには、冷たい風の中、季節など、どうでも良いのだと言いたげな、明るい色のスーツを着、その細い首からは、奇妙なネームプレートのようなものを下げていた。
その、奇妙なネームプレートのようなものは、細く開いたドアの隙間で、誇らしげに見えた。

は、どうみても私より一回りは若く、スーツを着ていなければ学生料金で映画を見れるだろう。
さほど高くない身長と、贅肉とは無縁そうな肩の上に、小動物のようにクリクリとした瞳と、小さな頭部。

私は一瞬にして、警戒心を失っていた。

それが私のツ・イ・ラ・クの始まりだったのだ・・・。


思い出せるの残した言葉は、今の私に現実を突きつける。

“すみません・・・ご主人に相談も無しじゃ無理ですか?”

“初めてのときは、現金だけなんですよ・・・”

そして、暗い部屋の片隅で、精一杯自分を抑えて膝を抱え、耳を塞ぐ私をせき立てる様に鳴り響く呼び鈴。
出る事の無いインターフォーンに向かい微笑みかけ続けるの姿が、今になっても時折私の胸を締め付ける。


は幻だったのだろうか?

いや、幻であって欲しい。


最初からなど、現れなかったなら、どれほど救われるだろう。
あの時、ドアを開かなければ、今の私は毎月、好きな映画が一本見られるくらいの幸せは得ていただろう。

は、また呼び鈴を押すのだろうか?
今週一杯、下手な居留守を使い続けた私を許すのだろうか?
インターフォーンに映るの笑顔をもう一度見てしまった私は、その話術に抗う術を知らない。

を憎むべきか。
のレゾンデートルを恨むべきか。


こんなにも私を苦しめ、悩ませるは、NHKの受信料徴収人。

一軒徴収で500円。
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