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死ぬまでにしたい10のこと 

死ぬまでにしたい10のこと 

予告からして、やられてた。 いや、その前に題名からすでにやられてたのか。

「my life without me」・・・あたしのいないあたしの人生。

そ、そんな・・・ 切ないにも程があるってもんだよ。なんだよ、もー。

23歳、余命二ヶ月。娘がいる。すげーカワイイ娘。
ダンナがいる。すげーかわいいダンナ
余命二ヶ月。
愛してる人たちを置いて死ななければならない主人公アンは、一回も泣き叫んだりしない。 
静かーに、涙を流して途方にくれるけど、途方にくれてる時間さえ、残りわずかなのだ。

静かーに涙を流した後、やることをとっとと決断して、実行するアン。
信じられない。全く持って、アンビリーバボー。
自分が死ぬことを受け入れるって、一体どんな感じなんだろ?

アンが死ぬ前にしておこうと、書き出した10個のこと。
その中には、アンが、
『そうすることが必要だと思うこと』と、
『そうすることを望んでいること』が混ざっている。
そのどちらにも、あたしには理解できないものと、理解できるものがある。
そんなの当たり前か。

“初めてキスした相手の子供を17歳で産んだ23歳で死ぬアン”

とあたしの共通点なんて、“子供を産んだ”くらいだし。
でも、このリストを一個読んだだけで、どばーっと涙が出てくるのは何故だろう? 
よくわからない・・・なんでだ?

一晩考えて、うすぼんや〜りと思うのは、このリストが、あまりにもリアルで、些細だからかな・・・と。
そんな、些細で現実的な事すら、今まで、死ぬことが決まるまで、アンには難しいことだったのかな、と。

アンは、死ぬ。
これは最初から分かってたことだから、見ている間中、アンのささやかなリストが上手く行けば良いと、ずっと思ってた。そして、一つ一つのシーン全部で、だーだー涙が流れた。
でも、そんなあたしに、一つ、どうしても理解できない、許せない問題が起こってしまったのだ。
リストの7番目と8番目、

“ダンナさん以外の男性を試してみる”と、
 “誰かが、自分に夢中になるようにしてみる”
の二つ。

この二つは、一人の男性、リーの出現で容易に実行出来たんだけど、アンにとって、これは、果たしてこのリストの本来の目的通りだったんだろうか?

正直なところ、あたしは、物語の後半、アンとリーの場面の度に、混乱してしまった。
アンは、他の男性を愛するつもりだったの?
アンは、リーを愛してしまったの?
二人が一緒にいるシーンが、あまりにもスゥィ〜トで、ステキ丸出しなので、これまた涙腺決壊しながら、さらに混乱したり。

でも、ラストで、その混乱が解決されて、腹立ったり。
そう、アンはリーを愛してたのだ。
それが、本来の目的とはズレてたとしても、アンが最後にメッセージを送ったのは、

“Darling Lee”(字幕・“愛しい、リーへ”)


別に、他の男性と浮気をするなとか、そんなこと、責める気持ちは、もっちろん、さらさらない。
さらさら無いどころか、この項目はこのお話にとって、とても重要だとも思う。
たとえ、まき込まれちゃったリーにとっては、いい迷惑だったとしてもね。

でもさー、ダンナ、いいじゃん。最高じゃん。
あたしの好みでカワイイってのは、除いたとしても、問題無いじゃん。
アンだって、愛してたでしょーに。愛し合ってたでしょーに。
なんで、最後のメッセージが、他の男なのよ。
んも−−−−、エンドロールが流れてる間中、号泣しながら、腹立ってぐちゃぐちゃ。

でもね・・・何故か、全て見終わったあたりで、ぱぁ〜っと全てが解決してしまったのだ。

“あ、そーか、アンは死んじゃったんだ。もう、このに世いないんだ”
って。
このお話は、
“初めてキスした相手の子供を17歳で産んだ23歳で死ぬアン”
が主人公。
アンのためのお話だったんだ。
あたしにとやかく言われる筋合いは無いのだ。

こう考えると、印象深すぎるほどな邦題、「死ぬまでにしたい10のこと」ってのは、あくまでも、
「アンがしたいこと」であって、「するべきこと」ではない。
切な過ぎる原題、「my life withoutme」はあくまでも、
「あたしのいないあたしの人生(アンの希望)」ということなのか。
そうするってーと、“最高に愛する人がいても、他の人を最高に愛してしまうこともある”も有りだし、あんなに良いダンナへのメッセージを、さらりと流してしまうことも有りだし、あんな良い人リーの人生を巻き込んじゃうことも有りなのかも。・・・かも。

アンが死んでしまった後の描写のように映しだされた、リストの2番目と4番目、

“娘たちが気に入る、Don(ダンナ)の新しい嫁を見つける”
“家族でビーチにピクニックに行く”

が叶ったシーン。
この、幸せがこぼれそうに眩しいシーンは、アンの夢なのかな?
アンが望んだ、リストの成果なのかな?
でも、辛すぎる。
アンのいない、アンの人生・・・
あたしは、このシーンを見るのが、一番辛かった。
この、アンがいない、幸せモリモリのシーンと、リーへの想いを語るアンのメッセージを重ねるなんて、あんまりだ。
あんまりなのに、あたしの頭の中は、このシーンで一杯だ。
く、苦しい・・・

アンが死んじゃう描写、一切無し。
残された者たちが悲しみに泣き叫ぶシーン、一切無し。
なんともあっさりと、清清しいと言っても間違いないようなラスト。
なのに、こんなに考えさるのは、なんでだろう・・・
こんなに後引くのは、なんで?
決して、重くのしかかる様な後引きではないのだけど。

誰にも存在する、“自分のいない自分の人生。”
ちょっと簡単に想像できないあたしには、やはりDonみたいなダンナは当たらないのか・・・
だから、チャチャイなのか・・・
あ。


IMDb・スガイシネプレックス札幌劇場

し / 2003年10月01日

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